解説のスピードを落とせば理解できる

視覚的に何かを覚えたり、既に十分な勉強の知識があってちょっとした+αを学ぶときには、リズムよく速いスピードで覚えたり解説する方がいいと思います。しかし、物事を理解しようとする時や文章を理解しようとする時、また、解きかたを初めて習う時や勉強が苦手な人に解説をする時は、その人が理解できるスピードで学ぼうとすると格段に理解しやすくなります。

教え方が下手な人

教え方が下手な人は、解説のスピードが速い傾向にあります。聞いている生徒からすれば、

そんなに早く説明されてもわかんないよ

というのが本音です。では、なぜ解説のスピードが速いのでしょうか?理由は大きく2つあります。

教える側が、生徒の基本が入っている前提で教えている=「これくらいの説明で分かるでしょ」と思っている。

こういう人は教えるセンスがない人です。生徒の機微に気づかない人です。正直向かないと思います。レベルの高い生徒に教えるのはもしかしたら向いているかもしれません。でも、そういう人に限ってレベルの高いクラスを担当することはあまりありません。その理由は、生徒の機微に気づけない人に大切な生徒を任せたくないからです。

②生徒にこまかいところを質問されたら答える自信がなく、自分ができないことを悟られないように早くその場を終わらせようとしている。

このケース、個別指導の先生は結構あります。なぜなら、自分が本来教えられる科目以外を教えていることがあるからです。例えば英語が得意で数学が苦手な先生は英語のみ指導したいと思うはずですが、実際は英語だけしか指導できないと生徒の割り振りが難しく、担当する生徒の数が激減してしまいます。そのため、個別指導のほとんどの先生が2科目~3科目教えています。別に教えられるのなら問題ないのですが、教えられないのに教えているケースも結構あります。解説のスピードが速い先生は、苦手な科目を教えている可能性があります。

たてる→かける→ひく→おろす

個別指導塾から集団塾に転職した最初の頃のお話です。以前小学生に割り算を指導している時に、「たてる→かける→ひく→おろす」で教えて下さいと先輩社員から教わりました。それ自体はとても良い教え方だと思うのですが、私の説明が遅いと言われ、その先輩社員が私が担当している生徒に「たてる!かける!ひく!おろす!じゃあ最初は?次は?」と早口で説明していました。

おいおいおい、そのスピードで理解できるわけないだろ。俺でも無理だわ。思考が追いつかないぞ。ほれ見ろ、生徒の顔を。困ってるじゃん。

と思って見ていました。おそらく今までもそうやって教えてきたのでしょう。生徒は何回やっても理解できませんでした。

そりゃそうでしょ。そんな早口で言われたら思考が追いつかないでしょ。

生徒のことを見ずに指導してきた証拠です。この場合、私ならこう教えます。

割り算はね、とりあえず、「立てる→かける→引く→おろす」で覚えるんだけど、「立てる・かける・ひく・おろす」がどういうことかはちゃんと説明させてもらうから、まずは、「立てる・かける・ひく・おろす」というのを覚えてね。じゃあ言って見て。

たてる・かける・・・なんだったっけ。

たてる・かける・ひく・おろすだよ

たてる・かける・ひく・おろすか。

そう、もう一回言ってみて

たてる・かける・ひく・おろす。

いいね。じゃああと3回言ってみて。

たてる・かける・ひく・おろす。たてる・・・

OK。じゃあ、たてる・かける・ひく・おろすがどういうことかっていうのをこれから教えさせてもらうね

と言ってここからはスピードを落としてゆっくりと解説をします。

流れを教えて、そのあとは一つ一つ丁寧に教えるという風にやらないと、初めて割り算を習う人は理解できません。

高校の微分・積分を習っていない人に早口でやり方を教えても絶対理解できないでしょ。

なのに小学生にはなんで早口で解説するの?

と思いませんか。生徒の反応を見ていれば、「理解したな」、「あやしいな」、「理解していないな」というのが分かるでしょう。ちゃんと反応を見ましょう。

解説のスピードを落とせばなぜ理解できるのか?

それは、脳が処理できるからです。言われたことをまず理解するのに時間がかかる生徒もいます。そういう時は待ちましょう。1秒で理解できる人もいれば、5秒10秒考えて言われたことの意味が分かる人もいます。個別に教える時は、その子のペースに合わせて教えるのがいいです。理解が早い生徒にはテンポを上げて解説した方がいいでしょう。理解に時間がかかる生徒は、反応を見て理解出来たのを確認したら次に進みましょう。私はテストの点数が30点未満の生徒(もっと言うと10点くらいの生徒)でも分かりやすく解説する自信があります。理解させる自信があります。それは、極端に解説のスピードを落としているからです。待つんです。頭で処理できたことを確認するまで。もちろん、分かりやすく解説することも必要です。教える技術の幅がなければできないことかもしれません。ただ、多くは解説のスピードを落とすだけで理解できるようになります。1:1で解説する時は、その子のペースに合わせて指導しましょう。

あとは本人が頑張らなければ成績は上がりません。解説を聞いて理解できても一人で解くとできないこともあります。それは、理解が不十分だったからか、時間が経ってやり方を忘れたからということもあるでしょう。とにかく家で一人で解くということをやらない限りは、成績が上がりません。だから、やらせることも大事です。

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